力に頼った介護は、介護者の腰痛を引き起こすだけでなく、介護を受ける方にも拘縮や褥瘡などの二次障害を発生させる等、介護現場での問題のひとつです。「抱え上げない介護」は施設・在宅・医療機関を問わず、介護する側・される側のどちらにも優しい「抱え上げない、持ち上げない、引きずらない」介護の取り組みの総称です。

事業の内容
  • 実践をつくる・すすめる
    抱え上げない介護を取り組み始め、継続を目指すため下記の研修を実施。
    ● 体に負担の少ないやさしい介護技術研修
    ● 抱え上げない介護入門研修
    ● 抱え上げない介護実践研修
    ● 抱え上げない介護定着研修
    ● リフトリーダー養成研修
  • 実践を広げる
    一定の研修を修了し、取り組みを積極的に継続している事業を滋賀県社会福祉協議会が推奨。

身体に負担のかかるケアの見直しと、安全で快適に働くことのできる職場づくりに組織全体で取り組むことにより、介護現場の働き方を変えます。

推進事業所認定までの流れ

抱え上げない介護推進事業所

  • 【抱え上げない介護推進事業所一覧】
    • 【抱え上げない介護推進事業所一覧】
  • 令和5年度
    • 医療法人湖青会 高齢者グループホーム南志賀の里
    • 社会福祉法人華頂会 特別養護老人ホーム 福寿荘
    • 社会福祉法人びわこ学園 さくらはうす
    • 社会福祉法人慈惠会 特別養護老人ホームゆいの里
    • 社会福祉法人野洲慈恵会 特別養護老人ホームぎおうの里
    • 社会福祉法人近江ちいろば会 グループホームぼだいじ
    • 社会福祉法人近江ちいろば会 ぼだいじデイサービスセンター虹
    • 株式会社JAゆうハート 水口ヘルパーステーション【更新】
  • 令和4年度
    • マザーレイク株式会社 グループホームマザーレイク
    • 社会福祉法人よつば会  地域密着型 特別養護老人ホームやまでら
  • 令和3年度
    • 株式会社J A ゆうハート 水口ヘルパーステーション

抱え上げない介護の取組例
Before-After

新しい道具の試行(ホバーマット) 
事業所名
びわこ学園医療福祉センター草津  
連絡先
 077―566―0701 
Before

 骨密度が低く、骨折リスクが非常に高い利用者さんです。通学の為、毎朝・夕、そして学校でも移乗をされています。呼吸器を使用されている上に、体格も良く、スライディングボードを使用しても3人の介助者を必要とします。

After

ホバーマットを使用することで、本人のリスクも軽減し、大変滑りやすく、介助者の負担も軽減しました。呼吸器の管理をしながらでも2人で移動することができています。学校の先生にも使い方をレクチャーして、登校後も使用していただいています。

天井走行リフターの導入
事業所名
社会福祉法人びわこ学園 びわこ学園医療福祉センター野洲
連絡先
077-587-1144
Before

 補講がむずかしくなった方の就寝場所を畳からベッドに変更した際、床走行リフターを使用していたが、空間が狭く、特に畳の上ではリフターが重く動かしにくいという問題があった。そこで、天井走行リフトを導入。

After

狭い部屋でも操作がしやすくなり、介助の負担が大幅に軽減された。

汚物水槽で洗浄する際の不良姿勢を防ぐ 
事業所名
社会福祉法人びわこ学園  重症心身障害者通所施設ピアーズ
連絡先
077-566-0774
Before

汚物水槽で洗浄をする際に、汚水が飛び跳ねてしまうため、それを防ぐために不良姿勢になりがちだった。また、蛇口を何度もひねって水を出さなくてはいけ                                       ないため、片手にバケツなどの物を持ちながら行っている状況だった。そのため、蛇口にワンハンドルカバーをつけ、ひねらなくても水が出るようにした。                                                                                                 また、汚水が飛び散りやすい方向にカバーを設置した。

After

カバーを設置したことで、飛び跳ねを気にして不良姿勢になるということがなくなった。また、蛇口もワンアクションでひねることができるようになり片手で物を持つ時間も短くなり、作業時間の短縮にもつながった。                                                                              

 

100均で、ベッド周りの環境を一工夫
事業所名
社会福祉法人びわこ学園 びわこ学園障害者支援センター  重症心身障害者通所施設 たいよう
連絡先
077-585-8040
Before

・介助中に外したベッド柵の置き場、以前はベッドや壁に立てかけていました。立てかけるだけでは不安定で、よく倒れたりするので、床置きにすることもありました。

・呼吸器やモニター等の医療機器のためのコンセプトタップ。裏側にあるマグネットで着くからと下部のフレーム部分に設置していました。

After

・ベッド柵に滑り止めシートを両面テープで巻くことで、安定して倒れなくなりました! 屈んでベッド柵をとることが無くなりました。

・コンセントタップを結束バンドで止めることで、高い位置に設置できて配線がスムーズに! 床走行式のリフトが使いやすくなりました。

スライディングシートの使い方アレンジ
事業所名
社会福祉法人 若竹会 山寺作業所
連絡先
077‐565-0178
Before

 排泄介助や入浴介助はストレッチャーに移乗して行ないますが、車椅子上で利用者さんを前傾姿勢にし、背中にスリングを入れ込んでしていました。利用者さんも前かがみになるので苦しいし、職員も利用者さんを抱えるのでお互いにしんどい体勢をしていました

After

 車椅子を倒して、スライディングシートを利用者さんの背面に入れます。スライディングシートは筒状になっているのでその間にスリングを通します。利用者さんも職員も無理な体勢になることもなく、二人体制でスリングを装着していたものが一人でもできるようになりました。 

脱衣所改善ビフォーアフター
事業所名
マザーレイク株式会社 湖の波
連絡先
077-549-2271
Before

脱衣所に掃除機をかける際、物置台の奥にコンセントがあり、中腰にならないと届きませんでした。スペースの都合で物置台は動かせず、入浴介助後しんどい体でさらにしんどい姿勢にならないといけませんでした。

After

物置台はそのままで、延長コードを使用し、コンセントを手前に持って来られるように改善しました。中腰になることなく、スムーズにコンセントを差し込めるようになりました。

送迎車両への車椅子の積み込みをより安全に
事業所名
社会福祉法人 野洲慈恵会 特別養護老人ホームあやめの里
連絡先
077-589-8533
Before

バンタイプの送迎車両の荷台に車椅子を積み込む際、時間短縮のために地面から持ち上げて実施。荷台まで高さもあるため、肩関節や腰部への負担が大きい!  

After

車両の荷台へ車椅子を積み込む際は車両のリフトを使用することで、楽ちん!
車両のバックドアに注意喚起のためのステッカーを貼付。
乗車前にも気持ちにゆとりを持つことで安全な送迎業務に!  

洗身時のリフト導入
事業所名
社会福祉法人びわこ学園 知的障害児者地域生活支援センター内 ひまわりはうす
連絡先
077-527-0492
Before

右股関節脱臼のある利用者さんを横向きで背中の洗身を職員2名で行っているが、利用者さんの身体を支える時に負荷がかかり、また、洗身時の作業姿勢(不安 定で無理な姿勢、前屈中腰など)ストレッチャーの高さ調整ができない事など問題が判明。
→ 改善策を課内で話し合い、リフターを使用することに!

After

利用者さん、介護者共に負担がなくなり、リスクが軽減。

2人の介助者の不良姿勢が改善!

 

スライディングボードで負担を少なく、自立支援を!!
事業所名
ぼだいじデイサービス虹
連絡先
0748-536-3901
Before

抱え上げによる乗り移りでは

《介助する人への負担 》
体を屈めて、持ち上げることで 急激な力、
ストレスが腰にかかり腰痛を起こす。

《介助される人の負担 》
無理な体勢で立たされる恐怖。
体の緊張は高まり、動きにくい体になってしまう。

After

ボードの横移動をお手伝い!!
ご自身の力を発揮、「できる」を育てる!!

ひとりで「立てる」ようになる!!
持てる力を引き出す関わり!

使うものは手の届く場所に
事業所名
特別養護老人ホームやまでら
連絡先
077-564-8216
Before

福祉用具があっても、用具を置いている場所によって使用率が変わるんです!!

何にも無い壁・・ただの壁・・用具が必要なんだけど・・・取りに行くのは面倒くさいし・・・エイッ!!と人力介助をしてしまう・・・

After

用具が必要な部屋には職員が手を伸ばせば届く所に配置!!使用率UP↑↑ こんな簡単な事でも腰痛予防になるんです!!

もう、あの頃には戻れなーい
事業所名
特別養護老人ホームやわらぎ苑
連絡先
077-564-6500
Before

抱え上げた方が早いし、用具使うのは面倒。

After
段トールとシートの導入で、もう誰も抱え上げません!
ちょっとした工夫でめちゃくちゃ楽ちん!
今となっては抱えるなんてとんでもない!
介助スペースを作って不良姿勢をなくそう!
事業所名
社会福祉法人慈惠会 特別養護老人ホームゆいの里
連絡先
077‐585‐4533
Before
何気にしている、その介助。
ちょっと待ってよ!その姿勢!
知らず知らずのうちにあなたの腰に負担あり!
 
お風呂介助を手早く行うために
サッと足先を洗いに行く時の姿勢。
腰が曲がり不良姿勢を生んでいます。
After
背筋ピーーーン!
ひと手間だけど介助スペースを作ってみませんか?
ひと手間で救われる腰がある!
スライディングボードの導入
事業所名
グループホーム マザーレイク
連絡先
0748-536-3901
Before
立位保持が出来ず、車椅子やベッドへの移乗は抱え上げで行う。
 
<介助される利用者>
腕力や立とうとする意欲はあるものの、立位保持は困難。職員が抱え上げる際も、両足が地面から浮いている状態の為介助が終わると自身もしんどそうな表情。
 
<介護する職員>
利用者の全体重を抱えるため、腰に負担がかかる。ボードの使用方法が周知出来ていない。
After
負担軽減!!
 
<介助される利用者>
脚も地面についた状態で移乗行える。利用者自身がしっかりと覚醒されている際は、ベッド柵に手を添えて、自身の力で滑りながら移乗も行える。
 
<介助する職員>
抱え上げる動作がない為、腰への負担が軽減。現場職員で協力し、移乗方法の動画を撮り周知する。居室にボードも設置する。
折りたたみバケツで足浴を楽に
事業所名
医療法人湖青会・グループホーム南志賀の里
連絡先
077-522-0030
Before
浴室で毎日足浴を行っている方。
足を持ち上げてバケツに入れる介助が利用者さん、職員ともに負担を感じている。途中何回かお湯を足すことで、足浴後とてもバケツが重くなり、排水するにも、持ち上げるのが大変。
After
折りたためるバケツに変更。
折りたたんだ状態で足を入れてからバケツを広げてお湯を入れる。足浴後はバケツを折りたたんで排水してから足を出す。お湯の入ったバケツを持ち運ばなくてOK。足を高く上げなくてもバケツに入れられる!
 
重たい物を持ち運ぶ作業はしない!
スライディングシートの導入
事業所名
水茎の里デイサービスセンター
連絡先
0748‐33-5337
Before
特浴対応の利用者に対し、立位困難なため、2人介助でストレッチャーからベッドへ抱えて移乗介助する 。
 
《介助される利用者 》
スタッフに両脇と足を持ち上げられ、
恐怖心と脇を持たれることへの痛みあり、
身体が強張ってしまう。
 
《介助するスタッフ 》
上半身を支える介助者は重さがかかり、
落とさないようにと支える手にも力が入ってしまう。
中腰で持ち上げるため、腰痛になる。
After
大きな方でも楽に移動!
 
《介助される利用者 》
スライディングシートを使って、
横に滑って移動するので、
持ち上げられる恐怖心がなく、
身体を持たないので身体の痛みがない。
 
《介助するスタッフ 》
滑らせることにより抱え上げる事なく、
介助者の身体の負担が少ない。
体格差も気にせず介助出来る。
ちょっとした工夫で利用者さんの能力を引き出す
事業所名
㈱JAゆうハート水口ヘルパーステーション
連絡先
0748-65-5650
Before
バスタオルでの頭側への移動
介護者の腕はパンパン
利用者さんは引きずられる。
After
【能力を活かせる環境へ 】
福祉用具と便利グッズを組み合わせることで…
あっ!? 自分で動けた!!
 
自分でできるようになったことで
「重いのに、ごめんね 」と、言わなくなった
ちょっとした工夫が利用者さんの自信につながり
気持ちも前向きになります。
ワゴン導入で排泄ケア姿勢を楽に
事業所名
社会福祉法人華頂会特別養護老人ホーム福寿荘
連絡先
077‐545‐2160
Before
排泄ケア時、使用後の物品やパットを入れるバケツを床に配置。
↓↓
不良姿勢
膝を伸ばしたまま、腰を曲げてバケツへ物を入れる。ひとりのケアで数回、さらに複数人のケアを行うので疲労はどんどん蓄積。回数と時間を重ねるごとに腰痛リスクUP
After
ベッドサイドへ搬入可能な小さなワゴンを導入。
ワゴンの腰高さ位置に、S字フックでバケツをかける。
↓↓
姿勢の改善!!
腰や膝に負担なく、自然な手の位置で
バケツに物を入れることが可能になった。
コンセントの高さを変更
事業所名
社会福祉法人びわこ学園・知的障害児者地域生活支援センター内 さくらはうす
連絡先
077-527-0495
Before
コンセントってこれが当たり前?!
あれ・・・?これって、不良姿勢やなぁ~。
でも、しょうがないな・・・?
 
床から約50cm
一日に何度も繰り返す動作。
その積み重ねが・・・腰痛に
After

そんなことはありません!!
あっ・・・!!これ、楽やわ〜。

床から約110cm
気づきにくいちょっとしたことから
改善することで不良姿勢が減りました
これこそが腰痛予防に!

移乗サポートロボットHugの導入
事業所名
特別養護老人ホームぎおうの里
連絡先
077-586-5444
Before
立位保持が困難な方は、トイレや入浴、移乗の場面でスタッフが抱え上げる介助を行っていた。
ご利用者にとっては・・恐怖心があって腰が引け、抵抗されることもあった。
 
職員にとっては・・腰への負担大。認知症で介助行為を理解していただけない場合はより大きな負担に。立位介助を億劫に思うことも。
After
  • 入浴やトイレ、移乗など立位介助の場面は多いけど、安全で楽。
    ご利用者も疲れない。
  • 慣れないうちは怖いと感じられる利用者も。でも慣れれば大丈夫。
  • 脚の筋力がうまく使えるようになり、 立位に協力いただけるようにも。
手すり設置で自立支援
事業所名
㈱JAゆうハート むすん手
連絡先
0748-86-7004
Before
浴槽に手すりが無かったので、
つかまり立ちができる利用者に、
二人が介助で抱え上げてお尻の清拭をしていた。
(利用者も職員も負担大)
After
浴槽に手すりを設置することで、
利用者がつかまり立ちできるようになり、
体を支えての一人介助が可能になった。
(利用者、職員とも負担減)
レク・リハビリ用品の取り出し・片付け
事業所名
介護老人保健施設ケアセンターこうせい
連絡先
0748-74-8411
Before
レク or リハビリで使用する物品をベッド下にて管理。

 

<<職員>>
奥の物品を取る時に体をひねり
手を遠くへ伸ばすことで 、腰への負担 ⤴
After
キャスター付きの台を作成。

 

<<職員>>
奥の物品を体に近づけられるため、
体をひねらずに物品を取ることができ、
腰への負担⤵
Before
After
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