抱え上げない介護推進事業
力に頼った介護は、介護者の腰痛を引き起こすだけでなく、介護を受ける方にも拘縮や褥瘡などの二次障害を発生させる等、介護現場での問題のひとつです。「抱え上げない介護」は施設・在宅・医療機関を問わず、介護する側・される側のどちらにも優しい「抱え上げない、持ち上げない、引きずらない」介護の取り組みの総称です。
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実践をつくる・すすめる抱え上げない介護を取り組み始め、継続を目指すため下記の研修を実施。
● 体に負担の少ないやさしい介護技術研修
● 抱え上げない介護入門研修
● 抱え上げない介護実践研修
● 抱え上げない介護定着研修
● リフトリーダー養成研修 -
実践を広げる一定の研修を修了し、取り組みを積極的に継続している事業を滋賀県社会福祉協議会が推奨。
身体に負担のかかるケアの見直しと、安全で快適に働くことのできる職場づくりに組織全体で取り組むことにより、介護現場の働き方を変えます。
抱え上げない介護推進事業所
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【抱え上げない介護推進事業所一覧】
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令和5年度
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令和4年度
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令和3年度
抱え上げない介護の取組例
Before-After
骨密度が低く、骨折リスクが非常に高い利用者さんです。通学の為、毎朝・夕、そして学校でも移乗をされています。呼吸器を使用されている上に、体格も良く、スライディングボードを使用しても3人の介助者を必要とします。
ホバーマットを使用することで、本人のリスクも軽減し、大変滑りやすく、介助者の負担も軽減しました。呼吸器の管理をしながらでも2人で移動することができています。学校の先生にも使い方をレクチャーして、登校後も使用していただいています。
補講がむずかしくなった方の就寝場所を畳からベッドに変更した際、床走行リフターを使用していたが、空間が狭く、特に畳の上ではリフターが重く動かしにくいという問題があった。そこで、天井走行リフトを導入。
狭い部屋でも操作がしやすくなり、介助の負担が大幅に軽減された。
汚物水槽で洗浄をする際に、汚水が飛び跳ねてしまうため、それを防ぐために不良姿勢になりがちだった。また、蛇口を何度もひねって水を出さなくてはいけ ないため、片手にバケツなどの物を持ちながら行っている状況だった。そのため、蛇口にワンハンドルカバーをつけ、ひねらなくても水が出るようにした。 また、汚水が飛び散りやすい方向にカバーを設置した。
カバーを設置したことで、飛び跳ねを気にして不良姿勢になるということがなくなった。また、蛇口もワンアクションでひねることができるようになり片手で物を持つ時間も短くなり、作業時間の短縮にもつながった。
・介助中に外したベッド柵の置き場、以前はベッドや壁に立てかけていました。立てかけるだけでは不安定で、よく倒れたりするので、床置きにすることもありました。
・呼吸器やモニター等の医療機器のためのコンセプトタップ。裏側にあるマグネットで着くからと下部のフレーム部分に設置していました。
・ベッド柵に滑り止めシートを両面テープで巻くことで、安定して倒れなくなりました! 屈んでベッド柵をとることが無くなりました。
・コンセントタップを結束バンドで止めることで、高い位置に設置できて配線がスムーズに! 床走行式のリフトが使いやすくなりました。
排泄介助や入浴介助はストレッチャーに移乗して行ないますが、車椅子上で利用者さんを前傾姿勢にし、背中にスリングを入れ込んでしていました。利用者さんも前かがみになるので苦しいし、職員も利用者さんを抱えるのでお互いにしんどい体勢をしていました
車椅子を倒して、スライディングシートを利用者さんの背面に入れます。スライディングシートは筒状になっているのでその間にスリングを通します。利用者さんも職員も無理な体勢になることもなく、二人体制でスリングを装着していたものが一人でもできるようになりました。
脱衣所に掃除機をかける際、物置台の奥にコンセントがあり、中腰にならないと届きませんでした。スペースの都合で物置台は動かせず、入浴介助後しんどい体でさらにしんどい姿勢にならないといけませんでした。
物置台はそのままで、延長コードを使用し、コンセントを手前に持って来られるように改善しました。中腰になることなく、スムーズにコンセントを差し込めるようになりました。
バンタイプの送迎車両の荷台に車椅子を積み込む際、時間短縮のために地面から持ち上げて実施。荷台まで高さもあるため、肩関節や腰部への負担が大きい!
車両の荷台へ車椅子を積み込む際は車両のリフトを使用することで、楽ちん!
車両のバックドアに注意喚起のためのステッカーを貼付。
乗車前にも気持ちにゆとりを持つことで安全な送迎業務に!
右股関節脱臼のある利用者さんを横向きで背中の洗身を職員2名で行っているが、利用者さんの身体を支える時に負荷がかかり、また、洗身時の作業姿勢(不安 定で無理な姿勢、前屈中腰など)ストレッチャーの高さ調整ができない事など問題が判明。
→ 改善策を課内で話し合い、リフターを使用することに!
利用者さん、介護者共に負担がなくなり、リスクが軽減。
2人の介助者の不良姿勢が改善!
抱え上げによる乗り移りでは
《介助する人への負担 》
体を屈めて、持ち上げることで 急激な力、
ストレスが腰にかかり腰痛を起こす。
《介助される人の負担 》
無理な体勢で立たされる恐怖。
体の緊張は高まり、動きにくい体になってしまう。
ボードの横移動をお手伝い!!
ご自身の力を発揮、「できる」を育てる!!
ひとりで「立てる」ようになる!!
持てる力を引き出す関わり!
福祉用具があっても、用具を置いている場所によって使用率が変わるんです!!
何にも無い壁・・ただの壁・・用具が必要なんだけど・・・取りに行くのは面倒くさいし・・・エイッ!!と人力介助をしてしまう・・・
用具が必要な部屋には職員が手を伸ばせば届く所に配置!!使用率UP↑↑ こんな簡単な事でも腰痛予防になるんです!!
抱え上げた方が早いし、用具使うのは面倒。
そんなことはありません!!
あっ・・・!!これ、楽やわ〜。
床から約110cm
気づきにくいちょっとしたことから
改善することで不良姿勢が減りました
これこそが腰痛予防に!
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入浴やトイレ、移乗など立位介助の場面は多いけど、安全で楽。ご利用者も疲れない。
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慣れないうちは怖いと感じられる利用者も。でも慣れれば大丈夫。
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脚の筋力がうまく使えるようになり、 立位に協力いただけるようにも。
腰への負担⤵